【放置は危険】キッチンの排水溝がボコボコ鳴る原因は通気不良?自分でできる解消法と専門家が教える予防策
目次
キッチンのシンクから聞こえる「ボコボコ」「ゴボゴボ」という不気味な音。水の流れもなんとなく悪い気がするし、「このまま放置して大丈夫?」と不安になりますよね。
実はその音、排水管からのSOSサインかもしれません。多くの人が「また詰まりかな?」と考えがちですが、原因はそれだけではありません。特に見落とされがちなのが、排水管の「通気不良」という専門的な問題です。
この記事では、水道修理のプロである「水まる」が、キッチン排水のボコボコ音の本当の原因、特に「通気不良」のメカニズムを誰にでも分かるように徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、
- ボコボコ音の根本原因がわかり、もう不安に悩まされなくなる
- 業者を呼ぶ前に自分で安全に試せる対処法がわかる
- トラブルを再発させないための具体的な予防策が身につくはずです。まずは落ち着いて、原因の特定から始めていきましょう。
(キッチンのトラブルは様々です。音以外の問題についてはキッチンの水トラブル原因一覧はこちらも参考にしてください。)
まずは30秒でセルフチェック!その「ボコボコ音」、危険度はどのくらい?
ボコボコ音が聞こえ始めたら、まずは慌てずに状況を確認しましょう。以下の3つのチェック項目に当てはまるものがないか確認してください。もし1つでも当てはまるなら、少し深刻な状況かもしれません。
チェック1:水がシンクに逆流してくる、または流れが極端に悪い
シンクに溜めた水がなかなか引かない、あるいはゴボゴボという音と同時に排水口から水が上がってくる場合は、排水管が完全に詰まっているか、それに近い状態のサインです。放置すると、シンク下の接続部から水が溢れ出し、床が水浸しになる二次被害につながる恐れがあります。このようなキッチン水漏れの主な原因にもなるため、注意が必要です。
チェック2:下水のような強い悪臭がする
ボコボコ音と同時に、排水口から下水のような嫌な臭いが上がってくる場合、排水管の「封水(ふうすい)」がなくなっている可能性があります。封水とは、排水トラップ(U字やS字に曲がった配管部分)に溜まっている水のこと。これが下水からの悪臭や害虫の侵入を防ぐ「フタ」の役割をしています。後述する「通気不良」によって封水が吸い出されてしまうと、このフタがなくなり、悪臭が室内に充満してしまうのです。
チェック3:キッチン以外の場所(お風呂場・洗面所)でも音がする
もし、キッチンの水を流したときに、お風呂場や洗面所の排水口からもボコボコと音が聞こえるようなら、問題はキッチン単体ではなく、家全体の排水管(共用排水管)にある可能性が高いです。特にマンションやアパートなどの集合住宅では、建物全体の配管で問題が起きているケースも考えられ、この場合は個人での対処は困難です。
なぜ鳴るの?キッチンの排水溝が「ボコボコ」言う4つの原因を専門家が解説
セルフチェックで状況が把握できたら、次になぜボコボコという音が鳴るのか、その根本原因を掘り下げていきましょう。原因は一つだけでなく、複合的に絡み合っていることもあります。
原因1:油汚れや食材カスによる「排水管の詰まり」
最も一般的でイメージしやすいのが、排水管内部の詰まりです。
調理で使った油を流すと、配管内で冷えて白く固まります。そこに食材のカスや洗剤の残りが絡みつき、ヘドロとなって雪だるま式に蓄積していきます。これは、まるで血管にコレステロールが溜まって狭くなっていくのと同じです。
配管が狭くなると、水が流れる際に空気の逃げ場がなくなり、残った空気が水の流れに押されて「ボコボコッ!」と音を立てて無理やり上がってくるのです。これがボコボコ音の正体の一つです。
原因2:【最重要】排水を妨げる「通気不良」のメカニズム
詰まりがひどくないのに音が鳴る場合、この「通気不良」が原因である可能性が非常に高いです。
ジュースを飲むとき、ストローの片方の端を指で塞ぐと、中のジュースが出てこなくなりますよね?排水管もこれと同じで、水がスムーズに流れるためには、抜けた水の分だけどこかから空気が入ってくる必要があります。この「空気の通り道」がうまく機能していない状態が「通気不良」です。
「サイホン現象」とは?排水トラップの封水がなくなる仕組み
通気不良の状態で大量の水を一気に流すと、排水管の中が一時的に真空に近い状態(負圧)になります。この強い力によって、排水トラップに溜まっているはずの封水(下水の臭いを防ぐフタ)が、まるで掃除機で吸い込まれるように排水管の奥へと引っ張られてしまいます。これを「サイホン現象」と呼びます。
封水が吸い出される瞬間に「ゴボッ!」という音が発生し、フタがなくなったことで排水管の空気が逆流してボコボコ音を立てるのです。
通気管や通気弁の役割と機能不全
本来、建物の排水システムには、この圧力変化を調整するための「通気管」という空専用のパイプが備わっています。屋上まで伸びているこの管が、排水管の「呼吸」を助けているのです。しかし、この通気管が落ち葉や鳥の巣などで詰まってしまうと、呼吸ができなくなり、通気不良を引き起こします。
また、近年ではシンク下に「通気弁(ドルゴ弁)」という空気を取り込むための装置が設置されていることもあります。この弁が故障したりゴミで詰まったりしても、同様の症状が発生します。
原因3:配管の構造的な問題(二重トラップ・勾配不足など)
稀なケースですが、排水管の施工自体に問題があることも。例えば、排水トラップが二重に設置されている「ダブルトラップ」状態や、水の流れを助けるための傾斜(勾配)が足りない場合などです。これらは空気の流れを物理的に妨げるため、恒常的にボコボコ音が発生する原因となります。新築やリフォーム直後から音が気になる場合は、この可能性も考えられます。ディスポーザーを後付けした際などに構造が変わってしまうこともあるため、ディスポーザー後付け時の注意点も確認しておくと良いでしょう。
原因4:集合住宅特有の問題や大雨などの外的要因
マンションやアパートでは、上の階の住人が大量の水を流した際、その水が排水立て管を流れ落ちる力で、自分の部屋の排水管の空気が引っ張られ、ボコボコと音がすることがあります。
また、台風やゲリラ豪雨などで地域の下水管の水位が急上昇すると、宅内の排水管の空気が押し出されて、家中の排水口から音が鳴ることもあります。これは一時的な現象であることがほとんどです。
業者を呼ぶ前に試したい!ボコボコ音を解消する5つのステップ
原因が分かったところで、いよいよ実践です。ここでは、プロを呼ぶ前にご家庭で安全に試せる対処法を、簡単なものから順に5つのステップでご紹介します。
ステップ1:排水口のゴミ受け・ワントラップの徹底洗浄
まず、一番基本的で見落としがちな場所の掃除から始めましょう。排水口のフタとゴミ受けを外し、その下にあるお椀を逆さにしたような部品(ワントラップ)も取り外します。これらの部品のヌメリや汚れを、使い古しの歯ブラシなどで徹底的にこすり落としましょう。これだけで空気の通り道が改善され、音が解消される軽度なケースもあります。
ステップ2:重曹とクエン酸(お酢)で優しく汚れを浮かせる
次に、配管内部の軽い汚れを化学反応で浮かせてみましょう。
- 排水口に重曹をカップ1/2(約100g)振りかけます。
- その上からクエン酸を大さじ2杯、またはお酢を1カップ(200ml)ゆっくりと注ぎます。
- シュワシュワと泡が出てきたら、そのまま30分〜1時間放置します。
- 最後に、50℃くらいのお湯でたっぷりと洗い流します。
この方法は環境にも優しく、配管を傷める心配もありません。
ステップ3:ぬるま湯(50℃程度)で油汚れを溶かす【注意:熱湯はNG!】
配管に付着した油汚れを溶かすには、お湯が効果的です。ただし、ここで絶対にやってはいけないのが熱湯を流すこと。キッチンの排水管は熱に弱い塩ビ製が多く、熱湯を流すと変形や破損の原因になり、かえって高額な修理費用がかかることになります。
必ず給湯器で設定できる45〜50℃程度の「ぬるま湯」を使い、シンクに溜めてから一気に流しましょう。これを数回繰り返すことで、固まった油をじんわりと溶かし、流れを改善する効果が期待できます。
ステップ4:ラバーカップ(スッポン)で詰まりを動かす
トイレで使うイメージが強いラバーカップですが、キッチンでも有効です。
- 排水口のゴミ受けやワントラップは外しておきます。
- ラバーカップのゴム部分が浸るくらいまでシンクに水を溜めます。
- 排水口にラバーカップを隙間なく密着させ、ゆっくり押し込み、勢いよく引きます。
- この「押して引く」動作を数回繰り返します。
水の圧力で詰まりを動かすのが目的です。詰まりが解消されると「ゴボッ」という手応えと共に水が流れ始めます。
市販パイプクリーナーが効かない理由は?効果的な使い方とは
「市販のパイプクリーナーを試したけど効かなかった」という方も多いでしょう。それもそのはず、多くのパイプクリーナーは髪の毛やヘドロなど「タンパク質系の汚れ」を溶かすのが得意ですが、固まった油汚れや、物理的な固形物の詰まり、そして根本的な「通気不良」には効果が薄いのです。
もし使用する場合は、製品の用途を確認し、粘度の高いジェルタイプを選んで、指定された時間通りに使うことが効果を高めるポイントです。
【プロに依頼すべきサイン】DIYで解決できない場合の判断基準
自分でできる対処法を試しても改善しない場合は、無理せず専門業者に相談しましょう。無理な作業は状況を悪化させるだけです。以下のような場合は、プロの出番です。
上記の方法を試しても改善しない、またはすぐに再発する
ご紹介した方法をすべて試しても音が消えない、または一度は直ってもすぐに再発する場合は、汚れが排水管の奥深くまで固着しているか、通気管の詰まりや配管の構造など、ご家庭では対処できない根本的な原因が潜んでいる可能性が高いです。
固形物を落としたなど、詰まりの原因が明確にわかっている
スプーンやペットボトルのキャップなど、明らかに溶けない固形物を流してしまった場合は、DIYでの対処は不可能です。無理に押し流そうとすると配管の奥で完全に詰まってしまい、大規模な工事が必要になることも。速やかに専門業者に連絡し、専用の機材で取り出してもらいましょう。
賃貸物件(アパート・マンション)で共有部分に問題が疑われる
他の部屋でも同様の症状が出ている、建物全体で問題が起きている可能性があるなど、共有部分のトラブルが疑われる場合は、まず管理会社や大家さんに連絡するのが鉄則です。費用負担のルールなども含め、個人で業者を手配する前に必ず相談しましょう。
信頼できる水道業者選びの3つのポイント|悪質業者を避けるために
いざ業者に頼むとなると「どこに頼めばいいの?」「高額請求されないか心配…」と不安になりますよね。ここでは、悪質な業者を避け、安心して任せられる業者を選ぶための3つのポイントをご紹介します。
ポイント1:料金体系が明確で、見積もり後の追加請求がない
優良な業者は、必ず作業前に現地調査を行い、原因を特定した上で「作業内容と費用の見積もり」を明確に提示してくれます。料金表が「〇〇円〜」と曖昧な表記だけでなく、出張費や見積もり料の有無、キャンセル料の規定などを事前に確認しましょう。見積もり後の不当な追加請求がないことを明言している業者は信頼できます。
ポイント2:水道局指定工事事業者で、Googleレビューなど第三者の評判が高い
各自治体の水道局から認定を受けた「水道局指定工事事業者」は、一定の技術水準と信頼性が公的に認められています。また、公式サイトの良い口コミだけでなく、Googleマップのレビューなど、実際に利用したユーザーの正直な声を確認するのも非常に重要です。リアルな評判は、その業者の実力を知る上で何よりの判断材料になります。
ポイント3:24時間365日対応で、緊急時にすぐ駆けつけてくれる
水回りのトラブルは、深夜や休日など、待ったなしで発生します。24時間365日受付・対応してくれる業者なら、いざという時に頼りになります。お住まいの地域に迅速に駆けつけてくれるか、対応エリアも確認しておきましょう。
例えば、私たち「水まる」は、これらの条件をすべて満たしています。水道局指定工事事業者であり、Googleレビューでも高い評価をいただいております。作業前に必ず明確なお見積もりを提示し、ご納得いただいてから作業を開始するため、安心してご相談いただけます。
ボコボコ音を再発させない!今日からできる3つの予防習慣
トラブルが無事に解決したら、もう二度と同じ思いをしないための「予防」が大切です。日々のちょっとした心がけで、排水管を健康に保つことができます。
習慣1:調理後の油は「拭き取って」から洗う
排水管詰まりの最大の原因である油。フライパンやカレー鍋、油っこい食器などを洗う前には、必ずキッチンペーパーなどで油汚れをできるだけ拭き取り、燃えるゴミとして捨てましょう。この一手間が、数年後の大きなトラブルを防ぎます。
習慣2:排水口には目の細かいネットを必ず設置する
ゴミ受けカゴだけでは、米粒や野菜の切れ端など、小さな食材カスはすり抜けてしまいます。100円ショップなどで手に入る目の細かい水切りネットを必ずかぶせて使用し、小さなゴミも逃さずキャッチするようにしましょう。
習慣3:月に1度は「パイプクリーナー」や「お湯」で配管メンテナンス
汚れがひどくなる前に、定期的なメンテナンスを習慣にしましょう。月に1度、就寝前に市販のパイプクリーナーを使用したり、シンクに50℃のお湯を溜めて一気に流したりするだけでも、汚れの蓄積を効果的に防ぐことができます。
まとめ:キッチンの異音は排水管のSOSサイン!原因を知って正しく対処しよう
キッチンの排水口から聞こえる「ボコボコ」という音は、決して放置してはいけない、排水管からの重要なSOSサインです。
この記事のポイントを最後におさらいしましょう。
- ボコボコ音の原因は「詰まり」だけでなく、空気の流れが悪い「通気不良」も大きい。
- まずは自分でできる掃除やお湯を使った対処法を安全に試してみる。
- 熱湯を流すのはNG!配管を傷める危険がある。
- 改善しない場合や逆流・悪臭がひどい場合は、迷わず信頼できる専門業者に相談する。
- 日々の「油を拭き取る」「ネットを使う」といった予防習慣が何より大切。
異音の原因を正しく理解し、適切なステップを踏むことで、不安は解消できます。この記事が、あなたの快適なキッチンライフを取り戻すための一助となれば幸いです。


