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手軽で衛生的なはずの「流せるトイレブラシ」や「流せるトイレシート」。でも、「本当に流して大丈夫?」「うちの節水トイレで詰まったらどうしよう…」と、不安を感じたことはありませんか?

メーカーの「流せる」という言葉を信じて使ってみたものの、水の流れが悪くなった気がする…。あるいは、実際にトイレが詰まってしまい、途方に暮れている方もいらっしゃるかもしれません。

ご安心ください。この記事では、水道修理のプロの視点から、「流せる」製品がなぜ節水トイレで詰まりやすいのかという科学的な理由や、詰まらせないための安全な使い方、そして万が一詰まってしまった際の自分でできる対処法までを解説し、あなたの疑問と不安をすべて解消します。

この記事を読み終える頃には、トイレトラブルに冷静に対処できる知識が身につき、安心して日々の掃除に取り組めるようになっているはずです。

(トイレつまり全般の原因や対処法についてさらに詳しく知りたい方は、トイレが流れない!タンク?便器つまり?原因別の自力対処法と修理業者選びの記事も合わせてご覧ください。)

【結論】「流せる」は過信禁物!節水トイレで詰まるリスクは非常に高い

まず結論からお伝えします。「流せる」と書かれていても、特に節水トイレでは詰まるリスクが非常に高いのが現実です。

実は、「流せる」という言葉をめぐっては、製品を作るメーカー、トイレを作るメーカー、そして実際に詰まりを修理する私達のような水道業者とで、見解が大きく異なります。

  • 製品メーカー(ジョンソンなど): 「水で分解する特殊不織布なので、1回に1個ずつ正しく使えば詰まりません」というスタンスです。
  • トイレメーカー(TOTOなど): 「トイレに流してよいのは、排泄物とトイレットペーパーだけです」というのが公式見解です。
  • 水道修理業者: 「トイレ詰まりの原因をたどると、これらの『流せる』製品だったというケースが後を絶ちません」というのが現場の正直な実感です。

なぜこのような意見の食い違いが起こるのでしょうか。その原因は、製品の素材とトイレの構造に隠されています。

原因1:「流せる」≠「水に溶ける」。特殊不織布の知られざる正体

多くの方が誤解されていますが、【「流せる」は「トイレットペーパーのように水に溶ける」という意味ではありません】。

トイレットペーパーは水に触れると繊維が瞬時にバラバラに分解されるよう設計されています。一方、流せるトイレブラシやシートに使われているのは「特殊不織布(ふしょくふ)」という素材です。これは、掃除の最中にボロボロにならないようにある程度の強度を持たせてあり、水に流されると「時間をかけてゆっくり繊維がほぐれる」という性質を持っています。

この「溶ける」と「ほぐれる」のわずかな違いが、詰まりの大きな原因になります。厚手で丈夫な不織布は、便器の排水路のカーブ(S字トラップ)やその先の排水管の曲がり角に引っかかりやすいのです。一度引っかかると、それが「詰まりの核」となり、後から流れてくる排泄物やトイレットペーパーを絡め取り、雪だるま式に大きく成長してしまいます。

原因2:節水トイレの宿命。少ない水量が詰まりのリスクを倍増させる

近年のトイレは、水道代の節約や環境への配慮から、一度に流す水の量が非常に少ない「節水トイレ」が主流です。

  • 従来のトイレ: 約13L
  • 現在の節水トイレ: 約4.8L以下(機種によっては3.8Lも)

洗浄水量が半分以下になったことで、固形物を押し流す水の力(勢いや水量)も弱くなっています。トイレットペーパーなら問題なく流せても、水に「ほぐれにくい」流せるブラシやシートは、この弱い水流では排水管の奥まで押し流せず、途中で留まってしまうリスクが格段に高まるのです。

特に、タンクがなく水道から直接水を流すタンクレストイレや、水圧が低くなりがちな集合住宅(マンション・アパート)の高層階にお住まいの方は、さらに注意が必要です。

原因3:意外とやってる!詰まりを誘発するNGな使い方

製品の特性やトイレの構造に加え、無意識の「NGな使い方」が詰まりの引き金となっているケースも少なくありません。

  • 一度に複数枚・複数個を流す: 水の力が分散し、押し流す力がさらに弱くなります。
  • 大量のトイレットペーパーと一緒に流す: 排水管の中で互いに絡み合い、巨大な塊を形成しやすくなります。
  • 「流せない」ウェットティッシュなどと一緒に流す: 水に溶けない・ほぐれないものを一緒に流すのは、詰まらせる原因を自ら作っているのと同じです。

心当たりのある方は、今日から使い方を見直す必要があります。

もう詰まらせない!流せるトイレブラシ・シートの賢い使い方と予防策

詰まる原因がわかれば、対策は難しくありません。ここでは、トラブルを未然に防ぐためのプロが推奨する賢い使い方をご紹介します。

【鉄則】「1回に1個(枚)ずつ」「洗浄モードは『大』で」流す

これは、流せる製品を使う上で絶対に守ってほしい鉄則です。

  • 【1回に1個(枚)ずつ流す】: 掃除が終わったら、まずブラシのヘッド部分だけを流します。複数使った場合でも、必ず1回ずつ分けて流してください。これにより、1回あたりの洗浄水量をその1個に集中させ、しっかり押し流すことができます。
  • 【洗浄モードは必ず『大』で流す】: 節水トイレの「小」モードは、主に尿などの液体を流すための水量しかありません。固形物であるブラシやシートを流すには、水量が絶対的に不足しています。電気代や水道代が気になっても、詰まりの修理費用に比べればわずかなものです。必ず「大」で流しましょう。

【究極の対策】不安なら「流さない」選択も。使用後の衛生的でスマートな保管・処分術

「ルールを守っていても、やっぱり詰まるのが怖い…」そう感じるのであれば、【思い切って流さない】という選択が最も確実で賢明な予防策です。

「でも、汚れたものをトイレに置いておくのは不衛生…」という心配ももっともです。そこでおすすめなのが、使用後のスマートな処分方法です。

  1. 掃除が終わったら、ブラシのヘッドを柄から外します。
  2. トイレットペーパーで軽く包み、防臭効果のある小さなビニール袋(ペットの糞処理用や生ゴミ用として100円ショップでも購入できます)に入れます。
  3. 袋の口をしっかり縛り、蓋つきのゴミ箱に捨てます。

こうすれば、臭いや衛生面の問題をクリアしつつ、詰まりのリスクを完全にゼロにできます。

万が一詰まったら!慌てずできる5つのステップ【プロが伝授】

どんなに気をつけていても、トイレが詰まってしまうことはあります。とはいえ、慌てる必要はありません。流せるブラシやシートが原因の軽度の詰まりであれば、ご自身で解決できる可能性があります。以下のステップを順番に試してみてください。

ステップ1:まずは放置。時間を置けば自然にほぐれることも

すぐに水を流そうとせず、まずは2〜3時間、場合によっては半日ほど様子を見てみましょう。流せる製品は水中で時間をかけてゆっくりほぐれる性質があるため、これだけで詰まりが解消することがあります。

ステップ2:ぬるま湯(40~60℃)を注いで分解を促進

放置しても改善しない場合は、ぬるま湯を使ってみましょう。お湯が繊維をほぐすのを助けてくれます。

  1. 便器内の水位が高い場合は、灯油ポンプや紙コップで水を少しずつ汲み出します。
  2. 40~60℃のぬるま湯(お風呂より少し熱いくらい)を、バケツなどを使って便器の排水口めがけてゆっくり注ぎます。
  3. 1時間ほど放置し、水位が下がっていれば解消のサインです。

【重要】熱湯は絶対に使用しないでください! 急激な温度変化によって便器の陶器がひび割れたり、破損したりする危険があります。

ステップ3:ラバーカップ(スッポン)で物理的に押し流す

詰まり解消の定番アイテム、ラバーカップの出番です。正しい使い方で効果を発揮させましょう。

  1. 便器内の水位を調整します。ラバーカップのゴム部分がしっかり水に浸るくらいの量が必要です。足りなければ水を足してください。
  2. 排水口にラバーカップを隙間なく、ゆっくりと押し付けます。
  3. カップの中の空気を押し出すように、ゆっくりと体重をかけて押し込みます
  4. 次に、詰まりを引っ張り出すイメージで、勢いよく手前に引きます。「押す」より「引く」が重要です。
  5. ゴボゴボという音がして水が流れれば成功です。その場合は、同じ動作を数回繰り返します。

ラバーカップの詳しい使い方は、トイレつまりはラバーカップ(スッポン)で!選び方・使い方・注意点をプロが解説トイレつまりに困ったらこの道具!ラバーカップと真空式パイプクリーナーの使い分け、修理の注意点徹底解説でも紹介しています。

ステップ4:重曹とクエン酸の泡の力で詰まりを浮かせる

ご家庭にあるもので試せる方法です。化学反応で発生する泡が、詰まりをほぐす助けになります。

  1. 重曹(カップ1/2程度)を便器の排水口に振り入れます。
  2. 次にクエン酸(重曹の半量)またはお酢(100ml程度)を注ぎます。
  3. 発泡が始まったら、ぬるま湯を少しずつ注ぎ、泡の発生を促します。
  4. 1時間ほど放置した後、バケツで水を流し、詰まりが解消したか確認します。

※塩素系の洗剤など、「混ぜるな危険」と表示のあるものとは絶対に併用しないでください。必ず換気しながら作業しましょう。
詳しくはトイレつまりは重曹とお酢で解決!効果的な使い方と注意点を解説をご覧ください。

自力で無理ならプロに相談。信頼できる業者選びと費用相場

ここまでのステップを試しても詰まりが解消しない場合、無理に続けるのは禁物です。詰まりをさらに奥に押し込んでしまったり、配管を傷つけたりして、状況を悪化させる可能性があります。そんな時は、迷わずプロの水道修理業者に連絡しましょう。

こんな場合はすぐ連絡!業者に依頼すべきサイン

以下のサインが見られたら、ご自身での解決は難しい可能性が高いです。速やかに専門業者に相談してください。

料金はいくら?トイレつまり修理の費用相場と内訳

業者に依頼する際に、最も気になるのが費用です。流せるブラシやシートによる詰まりの場合、料金の相場は以下のようになります。

作業内容 費用相場(作業費のみ) 備考
ローポンプ作業(軽度の詰まり) 8,000円~15,000円 ほとんどのケースはこの作業で解決します。
高圧洗浄作業(排水管の奥での詰まり) 20,000円~40,000円 詰まりが頑固な場合や、排水管全体の清掃が必要な場合。
便器の脱着作業(固形物や重度の詰まり) 30,000円~ 便器を一度取り外して、詰まりの原因を直接除去します。

※上記に加えて、基本料金や出張費が別途かかる場合があります。必ず作業前に見積もりを取り、料金の内訳を確認しましょう。

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  • 【出張・見積もり無料】: 作業を始める前に必ず状況を確認し、料金を明記した見積もりを提示します。内容に納得いただいてから作業を開始するので安心です。
  • 【水道局指定業者】: 各自治体の水道局から認定を受けた「指定給水装置工事事業者」であり、確かな技術力と信頼性の証です。

実際に、目黒区でのトイレ詰まりを30分、24,500円で解決した事例など、数多くの実績があります。Googleレビューでも高い評価をいただいており、お客様に寄り添った丁寧な対応を心がけています。もしものときは、こうした信頼できる業者を選択肢の一つとしてご検討ください。

「流せるトイレブラシ・シート」に関するよくある質問(Q&A)

最後に、お客様からよくいただくご質問にお答えします。

Q. 浄化槽のトイレでも「流せる」製品は使えますか?

A. 原則として使用は推奨されません。
浄化槽は、微生物(バクテリア)の働きによって汚物を分解する仕組みです。流せる製品に含まれる成分や、分解されにくい不織布が、この微生物の働きを阻害してしまう可能性があります。製品のパッケージや浄化槽の取扱説明書を確認し、「浄化槽OK」の記載がない限り、使用は避けるのが賢明です。

Q. 賃貸マンションで詰まらせた場合、修理費用は誰が負担するのですか?

A. 詰まりの原因によって負担者が異なります。
基本的には、入居者の不注意や誤った使い方(一度に大量に流すなど)が原因の「善管注意義務違反」にあたる場合は、入居者負担となります。一方、排水管の老朽化や構造上の問題など、建物設備に原因がある場合は、大家さんや管理会社の負担となります。
トラブルになった際は、まず大家さんや管理会社に連絡し、状況を説明して指示を仰ぐのが正しい手順です。

まとめ:「流せる」製品の特性を理解し、賢く使ってトイレトラブルを防ごう

今回は、流せるトイレブラシやシートが節水トイレで詰まる原因とその対策について、詳しく解説しました。最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 「流せる」は「水に溶ける」ではない。水中で「ほぐれる」だけ。
  • 節水トイレの少ない水量は、ほぐれにくい製品を流す力が弱い。
  • 安全な使い方の鉄則は【1回1個ずつ】【洗浄は大で】流すこと。
  • 最も確実な予防策は【流さずにゴミとして捨てる】こと。
  • 詰まったら慌てず【放置→ぬるま湯→ラバーカップ】の順で試す。
  • 自力で無理な場合は、悪化する前に信頼できるプロに相談する。

「流せる」製品は、正しく使えば非常に便利な掃除アイテムです。しかし、その特性を理解せずに使ってしまうと、高額な修理費用がかかる大きなトラブルにつながりかねません。ぜひこの記事で得た知識を活かして、トイレを清潔に保ちつつ、詰まりの不安がない快適な毎日をお過ごしください。